2010/08/07

PSP版 Chaos Head Noah

Filed under: ゲーム — ksk @ 10:04 AM

PSPのChaos Head Noahをプレイ、全エンディングクリアしました。
外で持ち歩いて少しずつプレイするゲームがないな、
と思って購入したんですが、自宅でも積極的に
プレイするほどに引きこまれてしまいました。

以下、ネタバレも含みつつ感想を書いていきます。

・知らない人の為のストーリー
主人公は渋谷で卒業最低限の登校でネトゲ廃人な生活をする
妄想癖激しい一人暮らしの「オタク」な学生。
しかし、世間をにぎわせていた猟奇殺人事件
「ニュージェネレーションの狂気」の第三の事件を目撃してしまう。
その後犯人の口封じを恐れる主人公に起こる奇妙な事件の数々。

…といったような背景です。
元々がPCでの発売だっただけあって、猟奇殺人の描写とかは
PSPというプラットフォームでありながら血とか一杯出てます。
テキストも含め、全体ではホラーというよりサイコな方に入ると思います。

■システム
色々書かれてはいますが、
つまるところ分岐の選択の連続であるところは
一般的なビジュアルノベルゲームと変わらないと思います。
が、良いゲームは総じてシステムとストーリーを全体でひっくるめて
一つのデザインとして丸めてくる事が多く、
これもその類に入ります。

で、カオスヘッドでは「妄想トリガー」という選択方法をとります。
ある事態に対して主人公が「ポジティブな妄想」「現実」「ネガティブな妄想」
いずれかを選択することで、フラグが変化する…のですが、
つまりは「妄想」であることが重要であり、
「妄想」をプレーヤーが操作することがデザインとしての根幹です。

■ゲームデザインと演出について
ここからはいよいよネタバレ話になっていきます。
このゲームが面白いのは、一つ一つの物事が
「who done it」「why done it」という次元に
達しないレベルで前半の話が進む所にあると思います。

主人公が「妄想」を繰り返すわけですが、
この妄想には「いちおう」始点と終点が演出として定められています。
が、しかしこの始点と終点が非常に曖昧です。
はっきり演出ルールが適用される場合と、
適用されずに妄想が終了してしまう場合がある。

序盤で主人公の精神的な疾患の可能性が宣告されるのですが、
この「主人公の精神があやふや」ということに対して
演出ルールが曖昧に運用されるというのがとても上手くマッチしてます。
主人公は「ニュージェネレーションの狂気」事件に対して恐怖するわけですが、
その事件、その関連事項がどこまで事実でどこまで妄想なのか、
というラインを上手にぼかしている。
興味の視点をこのライン上にしっかり誘導しています。

・ミスディレクション
更に上手なのは、多数の伏線を蒔きながら
主人公の妄想と精神疾患の可能性に目を向けさせることで、
「主人公」そのものの存在は逆にしっかり根付く事です。
前半は主人公以外のキャラの存在が非常にあやふやなのですが、
後半は一転して主人公の存在があやふやに感じていく。
その移行が非常に自然です。

■科学?
妄想科学AVGということですが、
確かに科学というかSFの要素は強かったし、
用語も多かったですが、自分にはむしろ哲学的なテーマが
色濃く出ているような気がしました。
もちろん哲学も立派な人文科学と考えればよいのですけれどね。

そういえば「盲点(盲斑)」って、子供の頃に簡単に接する
不思議テーマとしてはポピュラーだと思うんですが、
意外とそうでもないんでしょうか。
盲点で面白いのは、盲点は光を受容できないのにかかわらず
盲点の部分で隠れるたものの背景にはちゃんと色がついてる(※)ことで、
これが「脳が重要情報を再構築してる」という体験に繋がります。
お時間に余裕のある方は盲点の実験で試してみてください。

■キャラクター
初回のプレイでは、主人公以外のキャラクターへの
感情移入があまり強くなりませんでした。
それは主人公にとって他のキャラクターの
立ち位置が動き続けること、
そしてそれぞれのキャラクターと触れている時間が少なく、
主人公以外のキャラの内面を知るのが難しい、
ということがネックになっていると思います。
主人公の内面は嫌というほど聞かされますが、
それ以外の6人の重要な女性キャラの事については
初回は最後まで不明な部分が多い。

二回目以降はそれぞれのキャラのエピソードに進めますが、
これはIFでもあり、しかしキャラの背景でもあります。
キャラによっては非常に残酷なお話なので、
話をみているのも辛かったりしました。

各ルートを通っても、あまり前後が明らかにならなかった
キャラクターも居たので、そこが少し残念なポイント。
主人公のキャラが過剰に立っているだけに、
もう少し各ヒロインキャラ・サブキャラには
スポットが当たってもよかったのではと思います。

・主人公について
「ずっとヘタレ」と聞いたのですが、
確かにその通り。どのルートを通っても、
相手に対する承認欲求と、行動の原理が保身であることが
少なくとも「ヒーロー」ではない。
一番最後に能力を手に入れてようやく戦う力を得るものの、
そこまではずっと弱者でしかない。
しかし弱い心であるからこそ前半のストーリーが成立するので、
こうであるしかないのだと思います。

ヒロインとの関係の描写は非常に少ないので、
各ヒロインとのストーリーを成立させる順当な理屈も
「既に覚醒している強いヒロインに依存する」
という文脈でしか進められない。
思えば不幸な主人公の気がしますが、
こうでしかいられないのだと思います。

■作品としての弱点
・カタルシスがない
すぐ上で述べたように、主人公は最後まで精神的には弱いので、
たとえば「ダイの大冒険」のポップや、
「ロトの紋章」のポロンのように、弱者から覚醒して
強者に打ち勝つというカタルシスは殆どありません。
最後は思ったよりずっとあっさりで、
本当にラスボスとの力関係が転換したのかも怪しい。
エンディングはちょっとほっとするけど、
でも爽快感は最後まで与えられなかった気がします。

・グロかったりエロかったり
電車内や職場のお昼休みとかでもプレイしてたんですが
電車内で主人公のエロ妄想グラフィックが大写し とか
職場でPSPにアヘ顔が大写し とか、
ちょっとした事故が一杯発生して困りました。
僕も妄想トリガー引きそうです。

・専門用語
科学用語の他に、2ちゃんねる等で使用される
ネット上のスラングが多く、耐性が無い人は辛い。
と同時に、ネット上のスラングであると、
通用する時期が短いのではないか、という懸念があります。
3年後とかにこの作品に再度、もしくは誰かが初めて触れた時、
「古い作品だな」と思ってしまうのではないか。
ネットスラングの多用で主人公が非常に映えてますが、
ここは諸刃の剣だと思います。

・繰り返しが辛い
色んなサイトの感想で目にしましたが、2周以降、
分岐点から各ヒロインのシナリオに入るまでが
非常に長く、スキップを使っていても相当な時間がかかります。
放置で済むには済みますが、繰り返しが辛いです。
でも、それは自分がノベルゲーに慣れていないからかな。

■最後に総評として
非常に面白いんですが、ストーリーの残酷さ、表現のきつさで
積極的に他人に薦めにくいゲームだと思います。
「興味と耐性のある人はどうぞ」という、受動的な薦め方になってしまう。
でも、面白いです。

次回は各キャラクターについて。

つぶやくつぶやく

2010/08/04

メモ:キャラクタとストーリー制作について

Filed under: コラム — ksk @ 7:58 PM

手塚先生の作品を読んだときに、
最近継続して購入していた藤子F不二雄全集と比較してふっと思った事をメモ。

■藤子F先生
・基本
 藤子先生は「教育」の視点が先に立つイメージ。
 ドラえもん劇場版に代表されるように、学術的テーマ、科学テーマを砕いて
 ストーリーを仕立てることもある。
 基本的な連載では「日常社会に住む特異な主人公」を描く。

・キャラクター造形(主人公)
 超能力系キャラ(パーマンとかエスパー魔実とか)
 平凡系キャラ+サポートキャラ(のび太/ドラえもんとか)
 周囲との視点のギャップを感じることはあっても、目的遂行に対しては悩まない。
 主人公の立場は一貫している。

・キャラクター造形(主人公以外)
 主人公の持つ特異者としての視点を持っていない「常識人」が
 主人公に何らかの影響を与える。
 また、読者は主人公に自己を投影する仕組みになってると思われる。
 (のび太の焦燥を理解しないのび太のママに対する読者の苛立ち等)
 主人公と他者の対立はあまり起こらない。起こっても決別には至らない
 主人公は問題解決するときはあくまでも理解者と共に行う。もしくは単独。

・SF要素
 日常世界に入り込み、日常世界を拡張するものが多い。
 (ひみつ道具/超能力/発明/幽霊等)
 また拡張する機能を使えるのは基本的に主人公とそれに近いもの限定

・まとめ
 藤子先生の物語は、概して社会を巻き込まない。
 もしくは、社会そのものが設定にならない。
 あくまで小グループが一時的に異世界に接触するか、
 大規模な社会に影響しない範囲でおおごとに取り組み解決する物語。

■手塚先生
・基本
 手塚先生はファンタジーを描く。
 要素として実在の物が入る場合はある(ブラックジャック等)が、
 必ずしも教育や知識として吸収される事を意図しない。

・キャラクター造形(主人公)
 境界型主人公が多い。
 異なる2つのアイデンティティの間で揺れ動く。
 人間と人間ではないものの間(火の鳥等)
 健常者と病人の間(ブラックジャック)
 種族間対立(他もろもろ)
 

・キャラクター造形(主人公以外)
 主人公が関わる2勢力のどちらかの立場で設定されることが多い。
 が、その勢力どちらにも属するか、もしくは近しいキャラに敵方の立場を置く。
 主人公はそれに対して悩むリアクションをとるタイプ、
 目的に対して忠実なタイプ、2勢力の融和を図るタイプなど。
 キャラクターの絵柄としての個性は氏のまんが記号論に即してシンプル。

・SF要素
 世界全体が要素を持っている。火の鳥のように壮大な物、
 もしくはブラックジャックのように比較的小規模なものもあるが、
 全体として関連する全員が物語に強く関わる。
 事態に対して無知なものはモブキャラとしてしか参加しない。
 藤子先生のように「のび太のママ」で居られるキャラは少ない。

・まとめ
 手塚先生の作品は、主人公の立場がダイナミックに移動する。
 もしくは主人公に対して全体がダイナミックに移動する。
 漫画世界の中の社会を巻き込んで物語が展開するのであり、
 立場の移動によってドラマを展開する。

藤子A先生の方はあまり読んでないんですよね。
あと、石ノ森先生とかも読んでみたいなぁ。

つぶやくつぶやく

2010/08/01

カレーを食う!10 ゴーゴーカレー(秋葉原店)

Filed under: 食事 — ksk @ 3:20 PM

久しぶりの更新になりますカレー。
今回は秋葉原のゴーゴーカレーを食べてきました。
秋葉原駅昭和通り口を出て、右手側、MUSIC BOXの隣くらいですね。

注文は一番人気らしいポークカツカレーです。


カレーはかなり粘度が高い感じ。
結構しょっぱめ、カツのソースの味の印象が強いです。
横に乗っかっているキャベツを上手に配分して食べないと、
水が沢山必要になるかも。
トッピングで生卵等を使用することで
もう少しマイルドにした方がいいのかな、と思いました。

秋葉原では他のカレーはどちらかというと
さらさらしていた印象なので、どろっとしたカレーが
お好きな人はこちら、お薦めです。

つぶやくつぶやく

2010/07/29

雑記0729 タイトルを整理する

Filed under: ゲーム — ksk @ 1:04 PM

今日はお休みをいただきました。
色々絡まるが、月末は休み貰うチャンス。

ゲームの時間を減らしてはいるけれど、
相変わらず手元にあってやってないゲームは多いわけで…
ちょっと整理してみる。

・今やっている
 スーパーストリートファイター4 ←終わりが無いから飽きるまで
 世界樹の迷宮3 ←最後まで頑張れるかどうか…

・今手元にあるけど手をつけてない
 3Dドットゲームヒーローズ ←借り物
 ベヨネッタ ←借り物
 ファイナルファンタジー13 ←とりあえず手元にはおいといた。次プレイ予定?

・終わってないけどもうやらなさそう
 MGSピースウォーカー ←兵器戦ばっかりだし…
 ポケモンHG ←レッドは倒したからいいかな

・今後手に入れたい/やっておきたい
 塊魂トリビュート
 シュタインズゲート
 タクティクスオウガ

こんな感じでしょうか。
時間がいくつあっても足りないなぁ。
移動中とかの携帯機をどう運用するかがカギっぽいですね。

傍系のゲームとかも色々やっておきたいんだよなぁ。

つぶやくつぶやく

2010/07/26

勝手に小説化 FF5 vol.9

Filed under: 勝手に小説化FF5,連載 — ksk @ 10:42 PM

 

 四人は信じられない光景に目を疑った。誰も口を開くことができずに、数秒後レナが力を失ったようにその場に座り込んでしまった。クリスタルルームの中心、台座にその主の姿はなく、代わりに部屋中に、砕け、四散したクリスタルの欠片が散らばり、弱々しく光っていた。

 自然の力の源であるクリスタル。そのうち風を司るクリスタルが失われたということは、もはや世界に風が吹かないことを意味していた。船が海原を駆けることも、渡り鳥が海を越えることも、宵の街に夕食の香りが漂うことも、もうない。

「世界が……お父様……」

 レナが力なくつぶやいた。バッツはその肩に手を置いて、じっと状況を見定めようとした。先ほどの怪鳥が砕いたのだろうか。風の源は、伝説のクリスタルはこんなにも脆い存在だったのだろうか?そもそも、あの怪鳥はどこから現れたのか?タイクーンの王はどこにいったのか?先ほど自分を助けた謎の声は?バッツはぶんぶんと頭を振った。判らないことが多すぎる。一度に解決しようとしてはいけないと、バッツは思った。

 ファリスは散らばったクリスタルの欠片を眺めながら、台座の周りを歩き始めた。欠片の断面がきらきら輝き、ファリスの姿を映した。ファリスはそのうちのひとつを手に取ろうとし、欠片に触れた。

 瞬間、ファリスの脳裏にイメージが流れ込んできた。空、そしてどこかの国、赤い光を帯びたクリスタル――ファリスは思わず声を挙げ、手を引いた。

「どうした!?」

 ガラフがファリスに歩み寄ろうとした瞬間、部屋中のクリスタルの欠片が輝きだした。

「これは……」

 レナが困惑した表情でつぶやいたとき、今度は四人の脳裏に同時にイメージが流れ込んできた。

 

四人は空を飛んでいた。眼下の景色は風の神殿から海、森、砂漠と移り変わり、やがて城と街が見えた。四人はその城に飛び込むように落ち、そこで炎のように力強い、真っ赤に光るクリスタルを見た。赤いクリスタルから四人は勇気を受け取った。そのまま、四人はまたも宙を舞い、水に囲まれた天高くそびえたつ塔へと飛んだ。豊かな水を湛えた青く光るクリスタルから、いたわりの心を託された。次に飛んだのは遠い遠い昔に忘れ去られたらしい廃墟だった。いくつもの土と鉄との層を潜り抜け、見たことのない遺跡のような景色をめぐり、辿りついた先には黄金色に輝くクリスタルがあった。クリスタルは四人に希望を託した。最後に四人は風の神殿に戻ってきた。散ったクリスタルたちが一斉に、より強く輝き、バッツ達に探求せよと語りかけてきた。やがて、バッツ達の身体はそのまま地面に降り、四人は我に返った。まるで夢を見ていたような気分だったが、しかし四人は確かめずともお互いが同じ経験をしたことを実感していた。

「今のは……なんだったんだ?クリスタルが……」

バッツが呟いた。今の体験を、うまく言葉で説明することができなかった。

「クリスタルの……心?」

レナが呟いた。それはなんとも曖昧な表現ではあったが、しかしその言葉が一番しっくりくるように感じられた。四人は確かにクリスタルの持っていた思念のようなものに触れたし、それは四人の内に強い何かを残していた。

「なにやら、あったかいのう……」

ガラフが穏やかな顔で言った、その時だった。レナが突然、クリスタルの台座の方に向き直った。つられて、他の3人もそちらを見る。ファリスがあっと高い声を挙げた。先ほどまで誰も居なかった台座の上には、青いローブを着た男性が立っていた……立っていたというのは少し正確ではなく、男性の両の足は、ほんの少し地面から離れていた。バッツは思わず剣の柄に手を添えたが、しかし男性からは邪気が感じられず、バッツはそのまま身体の力を緩めた。

「お父様……!」

「父さん……レナの……?」

 レナの反応に、ファリスがレナと男性を交互に見比べた。レナは戸惑っているようだった。それもそのはずで、人間であるレナの父、タイクーン王であるなら、多少の魔法の心得があるとはいえ地に足をつけずに立つなどということはできるはずがないのだ。しかしそれでも、レナは探し求めていた父の姿を目にして、涙があふれてきていた。タイクーン王はレナに一度、優しい笑みを向けると、それからすぐに顔を引き締め4人に向き直った。

「よく聞くのだ。お前たちはクリスタルに選ばれし4人の戦士。……4つの心が宿るもの。勇気、慈愛、希望、探求……」

「どういうことですか、お父様!」

 レナがタイクーン王の言葉を遮って言ったが、タイクーン王は構わずに続けた。その顔には、若干の焦りが見られた。

「風のクリスタルは砕け散ってしまった。そして、他の3つのクリスタルも砕け散ろうとしている……お前たちは、クリスタルを護らねばならない。邪悪な者がよみがえろうとしている……全てを闇に変えるものが……」

 そこまで言った時、王の周りに突如、黒い霧のようなものが立ち込めた。同時に、先ほど怪鳥が現れた時のような嫌な感覚が4人を襲った。バッツは、今度はためらいなく剣を抜いた。

 黒い霧は、王を閉じ込めるように丸く包み込んだ。王は焦燥の表情を見せ、抵抗したが、球体は王を呑みこんだままふわりと浮きあがった。

「お父様!!」

レナが叫ぶ。

「行け!4人の戦士たちよ!クリスタルを護るのだ!」

 王がそこまで叫んだ時、球体は驚くべき速さで飛びだした。バッツ達が動き出す間もなく、球体はまるでそこに壁などなかったかのように、神殿の外壁を通り抜け、王を連れ去った。同時に、その場を支配していた瘴気が消えた。レナが再度叫んだが、その声は王の消えた壁に跳ね返り、ただ残響を残すだけだった。

 4人はしばらくの間、ただ立っていることしかできなかった。クリスタルの喪失、タイクーン王の残した言葉、一つ一つの事を反芻する時間が必要だった。

 ガラフは王の言葉を受けて、頭に鈍い痛みを感じていた。ガラフには、タイクーン王が言っていることを自分は既に知っていたような、奇妙な実感があった。もし自分が記憶を失う前にそのことを知っていたのだとしたら、自分が風の神殿を、そこにあったはずのクリスタルを求めていた事に説明がつく。しかし、なぜ自分がそのことを知っていたのかという事を思いだそうとすると、再び頭が刺すように痛みだした。結局、自分の正体が何であるかは判らないままだった。

 ガラフがこの場で自分の正体を思いだす事をあきらめた時、周りに散らばったクリスタルの欠片が再び、光りだした。4人がその状況に戸惑っていると、クリスタルの欠片はふわりと空中に浮かびあがり、お互いがお互いの光を受けて七色に輝きだした。

「クリスタルの欠片が……」

 ファリスが口を開きかけた時、クリスタルの欠片たちはいっそう強く輝き、次の瞬間には閃光となって、4人の身体に飛び込んだ。4人の心は再び風の神殿を離れ、イメージの世界へと跳んだ。4人の心は今度は空ではなく、時間と、人の心を駆けた。クリスタルに宿る古の勇者たちの心。歴戦の戦士の、高名な魔術師の、研究に己を費やした博士の……そこには幾千もの戦いがあり、勝利があり、出会いがあり、喜びがあった。敗北、別れ、悲しみを見た。恋をし、愛しあい、子を成し、あるいは別れ……最後に勇者たちは永き眠りについた。いずれも、己を高め、他の為に己が人生を投じた誇り高き戦士たちだった。

 バッツはイメージの世界で、先ほど怪鳥の戦いの際にバッツの身体に入り込んだ戦士と出会った。戦士はバッツに頬笑み駆けると、世界を、孫たちをよろしく、と言った。バッツが頷くと、戦士は光となってバッツの中に飛び込んできた。

 気がつくと、4人はまたクリスタルルームに還っていた。さきほどまで部屋に散らばっていたはずのクリスタルの欠片が、一つも残っていなかった。

「俺たちが……護る?クリスタルを……」

 バッツが反芻するように呟いた。誰も返事をできなかった。

「さっきの……他の3つのクリスタルの場所……?私、見たことがあるわ、あの青いクリスタル、あれはウォルスの……確か、水のクリスタル、お父様に連れて行ってもらった……」

 レナが言った。レナも混乱しているようで、言葉がうまく続かない。

「むう、しかし」

 声を発したガラフは、辛そうに頭を抱えていた。

「わしは、そうするために、ここに来たような気がする……わからんのじゃが、そうしなければいけない……」

 3人はガラフを見た。

「さっきレナの父君が言っておられた言葉……わしはここに来る前、クリスタルが危ないということを知っていたような気がしてならんのじゃ。それも、風のクリスタルだけではない……他の3つ、全てのクリスタルが……」

 そこまで言って、ガラフは表情をゆがめた。頭が痛むのか、ガラフはそのまま黙ってしまった。

「でも、なんでだ?どうして俺たちが?俺たちはさっき見たみたいに、ご立派な人間じゃあない。勇者だって?そんなのは、もっと歴戦の戦士とか、そういうお方にふさわしい称号じゃないのかい?」

 ファリスは混乱したようにそうまくしたてた。しばし、沈黙が流れた。

「俺は……行ってみようと思う。ウォルスへ……」

 バッツが口を開いた。

「確かに、俺は勇者なんかじゃない……でも今、クリスタルは俺たちに伝えて散ったんだ。俺たちが動かなきゃ、多分、誰も動けない。クリスタルが壊れるなんて、信じられるのは目の前で割れたクリスタルを見た俺達だけだ。それに……助けてもらった恩がある」

「恩?」

 レナが聞いたが、バッツはそれに返事はしなかった。怪鳥との戦いのときに力を貸してくれた勇者とかわした言葉と気持ちを、バッツは上手く伝えられそうになかったのだ。結果としてバッツは、彼の頼みを聞こうと思った、そのことだけでいいと思った。

「私も……行きます。」

少しして、レナが続けた。ガラフも強く頷いている。

「満場一致か、やれやれ。じゃあ行くよ、俺も。」

 ファリスが頭を掻きながら言った。

「ウォルスに行くとなると、水門を越えて南だな……肝心の門はどうする?王女様」

「門の管理人を知っています。トゥールに行きましょう」

レナがファリスに答えた。オーケー、とファリスは答え、4人は神殿を出てトゥールに向かった。

つぶやくつぶやく

ヘルミーナとクルス

Filed under: ゲーム — ksk @ 6:22 PM

小さい頃に、朝起きて冷たくなってた携帯カイロを見て
なんだか無性に悲しくなって泣いた事がありました。

と、いうことをちらっと思いだしたゲームです。
ガストの「アトリエシリーズ」ザールブルグ3作の
「リリーのアトリエ」キャラが登場します。
幼少期のヘルミーナが作成したホムンクルス「クルス」との
やりとりを描いたもので、ボリュームは小さめ。
高評価だったので気になっていたのですが、
最近ブックオフで500円で買えました。

ネタバレになりそうなのでプレイする意思がある人はお気をつけて。
作品の表現として面白いのは、
「クルス」に感情はあったのか?
という最後まで残る疑問です。
プレーヤーがクルスを操作するにも関わらず、
クルスの表現は最後まで淡泊で、
基本的には単語でしか喋れません。

その中でクルスは様々な言葉のパターンを駆使しますが、
そこで出てくる感情表現は基本的に会話の相手であるヘルミーナのもの。
最期のシーンも非常にあっさりしたもので、クルスの寿命が尽きても
視点はもともとクルスにあったのでプレーヤーには喪失がない。
この部分が残酷さを持ちながら、しかし繊細な所で、
どう見るかは結局がプレーヤーに委ねられます。
「お涙ちょうだい」でハッピーエンドにするでもなし。

ヘルミーナとコミュニケーションするゲームと取られそうですが、
しかしなかなか見せ方は面白いです。
ゲーム性は薄いのでビジュアルノベルに近いし、
しかもリリーのアトリエをしっかりプレイしているという前提が必要ですが、
現在取引されている値段としては相応以上に面白いと思います。

つぶやくつぶやく

2010/07/24

GAMEバンドの動画がニコニコラムで紹介されました。

Filed under: お知らせ — ksk @ 10:37 PM

先日GAMEバンドがアップロードした
コンサートの録画の動画ファイルが
ニコニコ動画の公式ブログ「ニコニコラム」で紹介されました!

http://blog.nicovideo.jp/nicolumn2/2010/07/post-171.html

紹介していただいたのは前回のコンサートから
「クロノクロス」の演奏動画です。

ひとまずお知らせでした!

次回コンサートに向けても鋭意練習中です!

つぶやくつぶやく

2010/07/20

雑記0720 お知らせ他

Filed under: 雑記 — ksk @ 8:13 PM

先日録音に参加した「ニコニコオーケストラ」の動画
FF6より蘇る緑の前半部分が公開されましたー。

赤い衣装でコントラバス弾いてるのが僕です。
これは2008年にGAMEバンドで着たのと同じ衣裳。
まさかこの赤魔道士をもう一度着る時がこようとは。

———————————–
PS2の「ヘルミーナとクルス」を衝動買い。
まだ遊んでません。500えんでした。
今度FF13も買おうと思います。

———————————–
横浜みなとみらいに遊びにいってみたんですが、
ゲームも漫画も売ってなくて、同行者と
「こんなのが未来だなんて信じられない」と
そのままラヴォスでも倒して未来を変えに行きそうな空気になりました。

———————————–
iPhoneとiPodTouchの2刀流なんですが、
音楽や動画はiPodTouchに入れてるため、
iPhoneは完全に携帯電話+アプリになってます。
容量めっちゃあいてるので何か入れようかと考え中。

せっかく居れたアプリはつかってみなきゃ、
と思って、仕事帰りの電車の中で「クックパッド」開いたら
激しく空腹感が刺激されました。
無料で面白いアプリはないものか。

——————————–
活字を読む気力が減退中。
それでも少しずつ読んでは居るんですが、
睡眠時間が足りないせいか、全体的に気力が削がれてます。
夏の悪い傾向です。しっかりせな。

つぶやくつぶやく

2010/07/17

メタルギアソリッド4

Filed under: ゲーム — ksk @ 12:46 PM

メタルギアソリッド4をクリアしました。
難易度はNAKED NORMALで、クラスはスコーピオンかな?

ゲームとしての印象は、スネークの耐久力がとても高くなった気がする。
戦場が360度で変化し、前なら潜入するというシチュエーションだったのが、
相手も戦場だから戦闘している状態で、
敵側の動きが全然つかめない印象。

ムービーが長くてゲーム部分のボリュームは確かに物足りないけど、
これはこれでいいんだと思います。

ストーリー等部分の印象。
ずっと奇妙な印象が残ってて、それが何かと思ったら
ものすごく死がカジュアルに描かれている事が原因だと思った。
メタルギアソリッドは確かに元々殺害をすることができるゲームだけど、
その殺害を避けることができるシステムでもある。
それがこれまでのメタルギアソリッドだった。

で、今回はというと、戦場がすごくカジュアルになっているので、
その結果としての人の死の描写がすごく変化してる。
死に方は同じだけれど、前よりもずっとずっとねばっこい。
それは「組織の一部として死んでいく」のではなく、
「もっと大きな社会の一部として死んでいく」というもの。
ある人物の先の分断が死によって訪れるのではなくて、
全体の継続の中で、ごく普通に個人に死が訪れる。

という、視点の違い。
で、その他のキャラクターも自分の人生の清算の為にどんどん死ぬ。
彼らはどちらかというと死にたがって死んでいるキャラで、
それと前述のカジュアルな死とが重なるから気持ちが悪い。

と、いう気持ち悪さが、メッセージの一つとして
提示されているのだと思う。これは「PMC」(民間戦争企業)の
リアリティを浮き彫りにすると同時に、でも巧みに隠してもいると思う。
人によってはこの印象は素通りすると思うし、
だからこそ素通りしてしまうことが怖い。

最後に老いたスネークが残り、何をするかというのは
死ぬよりある意味で残酷な描写。

…と、これまでのMGSと死に関する描写がまったく違うところが、
今回のメタルギアソリッドの特徴かなと思いました。
勢力と勢力の戦いの間で死ぬのではなく、
非常に一方向的な社会の中で役割として死んでいく。
戦場で戦っているのに、誰と戦っているのか判らない死にかた。
不思議なゲームだったと思います。

つぶやくつぶやく

2010/07/09

読まず騒ぎ

Filed under: コラム — ksk @ 11:20 PM

各種の法律に基づく裁判が行われた際に、
即物的に結果だけ見て騒ぐ人がmixiニュースとか見て結構多い印象なんですが、
条文を読んでないんじゃないのって思うケースがいっぱい。

たとえば。

■製造物責任法(PL法)
 →損害賠償で企業から沢山金貰うなんてゴネ得だろう

(目的)
第一条  この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

→損害賠償で損得が生まれるのは企業に社会責任を負わせる副次的結果では?

■少年法
 →年齢低いっていうだけで少年法で保護されるなんておかしい

(この法律の目的)第1条 この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。

→特に「環境の調整に関する保護処分」に注目。
 少年犯罪を起こす少年は、生育環境に問題があるケースが多い。

■売春防止法・児童買春(中略))法
 →売った方はなんで罰せられないの

(目的)
第一条 この法律は、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることにかんがみ、売春を助長する行為等を処罰するとともに、性行又は環境に照して売春を行うおそれのある女子に対する補導処分及び保護更生の措置を講ずることによつて、売春の防止を図ることを目的とする。

(目的)
第一条  この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護することを目的とする。

 →少年法に概ね同じ。

——————————————–
他にもあるんだけど、細かいところに行きそうだったのでこのへんで。
基本的に法律って個人を相手にしてないところがあって、
だから見る側も自分の溜飲がどうこうというところとは
別の所から意見すべきだと思うんですけれど。

でもmixiニュースとかのコメント見てると、
脊髄反射的なコメントはすっごい沢山あって、
それって「俺は怒ってるんだよだっておかしいだろ」くらいのレベルの
個人の溜飲がどうのこうのっていう意見が多くて
そういうのに「総意」が引きずられていくと
現代社会とか民主主義ってなんなのって思ってしまう。

逆に言うと、現場で働いている人たちはそんな意見は
どうとも思っていないんだろうけれど。
条文読むだけでも「この法律の目的それじゃないから」
って言えちゃうケースが多い中、いかに結果だけ見て
他を見ない人の多いことか。言うだけは気楽だからいいよね。

つぶやくつぶやく
« 前ページへ次ページへ »

HTML convert time: 0.584 sec. Powered by WordPress ME